「演じる起業家」〜世界を舞台に活躍する女優起業家の話〜 8
「演じる起業家」〜世界を舞台に活躍する女優起業家の話〜 8 ここから自分のためではない、母親としての人生が始まった。 ここまで人生がガラリと変わるのなら、過去なんてなかったことになればいいのに。 でもその時は比較的スッキリしていた。 まだビザの期限は残っていたが、イギリスを去った。 しょうがなく取り残しがあったドイツ映画の収録にもデカい腹を抱えて参加したが、熱いなかイライラしていた。 つまりこの時点で優先順位が自分からお腹の子に移っていた。 そしてここまでやらせてくれたお腹の中の赤ちゃんに感謝していた。 こしかしここまで平和な日々がやってくるとは夢にも思わなかった。 旦那も休暇をとり、1ヶ月間つわりも屁もない日々。 「愛してるよ」「愛してるよ」「愛してるよって今日もう言った?」 と言われ続ける日々。 (ここまでくると、イタリア人かって感じ) そして少々うんざりし始めていた。 というのも予定日を2週間過ぎても生まれてこなかった。 平和すぎて、することがなさ過ぎて、愛されすぎていて・・・。 結局どんな方法を使っても赤ちゃんは出て来る気にはならなかったようで、陣痛促進剤を投与。 そして旦那が立ち会うなか立ったりしゃがんだり、お風呂に入ったりしたが、それでも赤ちゃんは出てこなかった。 15時間が過ぎたころに旦那が疲れて泣きそうになっていた。 私は日にちが11月6日になったら死ぬ気を出そうと決めていたせいだ。 待っても待っても馬鹿みたいに陣痛だけきてた。 そして医師からの切腹宣告(帝王切開)。 拒否する非日本人の私と旦那。 それを後ろから支える看護師。 そして日付が変わり11月6日になった。 そこから投げやり勢い任せの出産が始まった。 ウンコ座りさせられたり、うつろのまま踊ってみたり。 そしてやっと出てきた。 黒髪のしっかりした顔の男の子が出てきた。 嬉しかった。 私の父親に似ていた。 ちょっと落ち込んだ。 ちなみに11月6日にこだわった理由はただ単に11月5日という日にちが気に食わなかったのと、主人の誕生日が6月11日というためだけだ。 そんな深い理由は特にない。
← 前回 | 続き → 山下結穂/Yuho Yamashita フィルニーズヨーロッパLTD代表取締役、起業家、クリエイティブコンサルタント、起業コンサルタント、女優、そして一児の母。英国ならびにヨーロッパにて活動中。 幼少期は演劇界にて活躍。ミュージカルアニーのアニー役、NHK朝の連続テレビ小説「甘辛しゃん」にてヒロインの子供時代を演じる。 高校時代のアメリア留学を経て同志社大学入学。中途退学後早稲田大学進学、ドイツ・フライブルグ大学留学後帰国せず卒業。自然環境学学士。 現在は英国を拠点にパインウッドフィルム作品やドイツ国営放送ドラマに出演しつつ、英国、そしてドイツにて起業。その豪華客船会社キュナードにてクリエイティブコンサルタントとして映像広告を制作、また複数国のビザを所有し起業した実績をもとに、世界で起業するためのノウハウを伝授する。 Futagami氏の想いに共鳴し、この組織が海外に進出することの手助けになることを願いつつIGIRISU-NETの代表として奮闘中。
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