イギリスで教育しよう!キャッチメント Vol.3

18.09.2017

キャッチメント Vol.3 

 

 

「もしもし、このたびゴールダーズグリーンに引っ越してきた内田と申します。2001年の7月11日に生まれた娘がおりますが、メノーラ小学校に編入させたいのですが、可能でしょうか?」と、引っ越してきたばかりの母親が小学校に聞くであろう、いたって普通の質問をしたところ、これに対する返事が、「お宅のお嬢さんはユダヤ教信者ですか?」であった。「公立の小学校なのに生徒の宗教の事なんて聞くの???」とは思ったけれど、「いいえ、違います。」と答えた。すると、「それではうちの小学校には合いません。」という答えが返ってきた。礼を言って、電話を切ってはみたものの、頭の中ではクエスチョンマークが飛び交う。ユダヤ人じゃないとこの学校には入れないの?次の日、飼い犬、ダーモットの散歩がてらメノーラ小学校に行ってみた。前を通ってみると、なんと校庭から聞こえてきた生徒が歌っている曲はヒーブルー(ユダヤ語)の曲。おまけに校庭で遊んでいる子供達は男の子は皆キッパ(ユダヤ人の男性がちょこっと頭の上に乗せている円形の帽子)を被っている。確かに、これでは長女はこの学校には合わない。ますます疑問は深くなる。「公立の小学校なのに宗教上の制限があるの?そんなことって許されるの?」

 

きつねにつままれたような気分で調べてみると、公立の小学校にはコミュニティ・スクール(community school)とフェイス・スクール(faith school)) という異なる成り立ちの学校があることが分かった。コミュニティ・スクールとは、地方団体が土地も建物も所有し、教員を雇い、入学条件も決定する、日本でもお馴染みの公立小学校である。これに対して、フェイス・スクールとは、国が定めたカリキュラムに従って授業するが、宗教の時間はその学校が定めた宗教を教える事ができる。宗教団体が、慈善事業として学校の建設費用等を払う代わりに学校の教育方針にも関与するシステムだ。さらに、フェイス・スクールはヴォランタリー・エイデド・スクール(VA)とヴォランタリー・コントロールド・スクール(VC)に分かれる。VCは、地方団体が教員を雇い入学条件を決めるが、VAの方は、宗教団体が教員も雇え、また入学条件にも関与する等、学校方針に対する影響力が大きい。従ってユダヤ教の子供に入学優先権を与える事も学校が決められる。 オフステッドレポートを見て興味を持ったメノーラ小学校だが、ユダヤ人は教育熱心で勤勉なだけに、確かに生徒の学力も高いはずだ。しかしながら、VAのフェイス・スクールであるため、断られるべくして断られてしまった私は、英国の公立小学校の多種多様な側面に直面し、面食らってしまった。(続く)

 

 

 

*学校区分の日英比較は大体下記のとおり。(英国日本婦人会発行『ロンドン暮らしのハンドブック』2017年5-8改訂版p。35参照)

 

 

Miho Uchida/内田美穂

聖心女子大学卒業後外資系銀行勤務を経て渡英、二男一女を育てる傍らオペラ学を専攻、マンチェスター大学で学士号取得。その後UCLにてオペラに置けるオリエンタリズムを研究し修士号取得。ロンドン外国記者協会会員(London Foreign Press Association)。ロンドン在住。ACT4をはじめ、数々の日本の雑誌にて執筆中。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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