top of page

トーベ・ヤンソン、ムーミン展 ー ダリッジ ピクチャー ギャラリー


©️J News UK, Chikako Osawa-Horowitz

ロンドン郊外にあるダリッジ ピクチャー ギャラリーという場所でトーベ・ヤンソン、ムーミン展は開かれている。今年はロンドンの至る所でムーミンに関するアトラクションが開催され、これもその1つ。

日本人にはお馴染みのムーミン。でも実際どのくらいの人がこのムーミンの作品またはクリエイターについて知っているであろうか。ムーミンを動物のカバをモチーフにしたという人もいたり、さすらいののスナーフキンの発する言葉はどこか神秘的で人生をまるで悟っているかであったり。果たしてこれは子供用のアニメーションなのか、なかなか不思議な作品に思える。ちなみにムーミンのモチーフはトロールという妖精、しかし実際に言われている怖い顔のトロールとは違う生き物らしい。

©️J News UK, Chikako Osawa-Horowitz

筆者も日本で放映されていた ♪ ね~、ムーミン、こっち向いて… ♪ の主題歌を連想させて行ったが、その雰囲気は一歩、中に入って完全に覆された。

ムーミンの作品の親はフィンランド、ヘルシンキ生まれのトーべ・ヤンソン。1914年8月9日生まれ、2001年6月27日没。彼女の生まれた1914年は丁度第一次世界大戦が勃発。それまでのフィンランドはスウェーデンと旧ソビエトに占領せれていた時期があり、スウェーデン語とロシア語を話せるフィンランド人が今でも多いのもそういう歴史的背景に由来する。彫刻家の父、画家の母を持つ彼女はとても繊細で表現力豊かに生まれてきたのかもしれない。

彼女の創作活動はヘルシンキのスタジオが拠点であるが、幼少期より海と島に魅せられ、夏は主にフィンランド湾にあるクルーヴハルという小さな小さな島で過ごした。そこには彼女の生涯のパートナーであり、グラフィック アーチスト兼教授であったトゥーリッキ・ピエティラ(1917−2009)とも一緒に訪れていた。

ムーミン以外の展示ではシュルレアリズムに影響された彼女の初期のアクリル画、油絵があり、1930年代以降になるとプロパガンダ的ポスターや政治を揶揄するような絵もあった。60年代の作品としては戦争に反対する抽象画も描いている。彼女が画家として1975年、最後に描いたという自画像はなんとも言えないとてもインパクトのある作品。

ムーミンの作品のテーマは性別、セクシャリティ、忍耐、フリーダムであり、ホモセクシャルは当時のフィンランドでは法律的に認められておらず、彼女自身の実体験も織り込まれた作品になっている。そしてムーミンは第二次世界大戦中に作られたということもとても興味深い。どんな気持ちでどんな意味を込めて彼女がこれを作ったのであろうか。

第2次世界大戦後スェーデンの出版社から初のムーミンの本が出版され、その2年後から大人向けの4コマ漫画として新聞の片隅に登場、そして世界中に広まって行った。現在のイブニングスタンダード(旧ロンドンイブニングスタンダードニュース)紙にも1954年から1975年まで毎日連載されていた。その他に1974年にはヘルシンキでムーミンオペラも初演された。

日本では見られないムーミンのもう1つの顔を見られた展示会だった。

ギフトショップも充実しており、本やぬいぐるみの他に原画を使ったマグカップや食器類も販売されている。

ギフトショップ©️J News UK, Chikako Osawa-Horowitz

ギャラリーの中のカフェ©️J News UK, Chikako Osawa-Horowitz

©️J News UK, Chikako Osawa-Horowitz

トーベ・ヤンソンをインスパイアーしたというシーフード(キャビアもあり)

©️J News UK, Chikako Osawa-Horowitz

トーベ・ヤンソンをインスパイヤーしたというシナモンロール

©️J News UK, Chikako Osawa-Horowitz

トーベ・ヤンソン展 2018年1月28日まで

Dulwich Picture Gallery

Gallery Road London SE21 7AD

入場料:大人£15.50 子供無料

ビクトリア駅からウエストダリッジ駅、又はロンドンブリッジ駅からノースダリッジ駅までそれぞれ15分

バスはP4、P13、37、42

駐車場無料

コベントガーデンのムーミンショップ

43 The Market, London WC2E 8RF

bottom of page