Russian Ballet Icons Gala 2018 in London Coliseum

18.03.2018

ロシアン・バレエ・アイコンズ・ガラ2018、 ロンドン・コロシアム

with English National Ballet Philharmonic Orchestra

Conductor: Valery Ovsyanikov

 

 

 

毎年恒例のロシア文化連盟主催によるロシア・バレエ・ガラが2月下旬、ロンドン・コロシアム劇場で開催された。

世界で活躍するバレエダンサーを一挙にこのロンドンで見るということは、バレエファンにはたまらないイベントであろう。

また今年はロシアバレエのレジェンドと言われているマリウス・イワノヴィッチ・プティパ氏の生誕200周年のお祝いも兼ねて特別なガラ公演となった。

 

マリウス・イワノヴィッチ・プティパ氏とは

 

1818年3月11日マルセイユ生まれのフランス系ロシア人バレエダンサー、振付師、台本作家でもあり、クラシックバレエの基礎を築き、帝政ロシアで活躍した人物。1847年5月24日、船でサンクトペテルブルクへ初めて渡り、マリインスキー劇場(当時インペリアル シアター)にプリンシパルダンサーとして迎えられ、踊りだけではなく、振付師、台本作家としても活躍。その後1869年には同劇場の芸術監督として就任し、退任する1904年までに約60もの作品を世に送り出した。その代表作はチャイコフスキー作曲「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠れぬ森の美女」、レオン・ミンスク作曲「ドン・キホーテ」などがあり、これらの作品が作られて140年以上経った今でも世界で上演され人々を魅了し続けている。

 

ロシアバレエならではの出演者たち

 

出演者も豪華な顔ぶれで、マリインスキー、ボリショイ・バレエ団を代表するプリンシパルを始め、ロイヤル・バレエ団よりプリンシパルダンサー、フェデリコ・ボネリ、最近注目若手ダンサー、フランチェスカ・ヘイワードも参加。他には元ロイヤル・バレエ団所属、その後マリインスキーバレエ団に移籍し、英国人初のプリンシパルダンサーとなったザンダー・パーリッシュやアジア人で初のプリンシパルになった韓国人のキミン・キムなども出演した。

 

 

 

~演目~

 

第一幕

 

 

『コッペリア』

出演:マヤラ・マグリ、スタニスラフ・ウェグリズン

振り付け:エンリコ・チケティ、マリウス・プティパ

 

ガラのオープニングを飾ったのはブラジル生まれのマヤラ。相手役にはポーランド人のスタニスラフ。マラヤはリオデジャネイロでバレエをトレーニングし、英国ロイヤルバレエスクールに入学、卒業。その後ロイヤル・バレエ団に入団。現在ソロリストとして活躍。一方スタニスラフはポーランド、クラフクにあるバレエアカデミーでトレーニング、その後ミュンヘンのパフォーミングアート&音楽大学を近年卒業。今までに数々の国際的な賞を受賞している。このような経歴の二人の踊りはまさに若さいっぱいのパフォーマンスであった。これからの二人がダンサーとしてどのように成長していくか楽しみである。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『フラッシュバック (ワールドプリミア)』

出演:エカテリーナ・コンダウローワ、ロマン・ベルヤコフ

振り付け:イリヤ・ジヴォイ

両ダンサーともにワガノワ・バレエ・アカデミー卒、マリインスキー・バレエ団ダンサー。真っ暗な舞台に真っ赤なドレスを着たエカテリーナがスポットライトで浮かび上がり、幻想的かつ、機敏、そしてエロティシズムさをしなやかな体の動きで表現。二人の息もピッタリ合い、この日の演目で一押しの作品。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『ジゼル』

出演:フランチェスカ・ヘイワード、フェデリコ・ボネリ

振り付け:ジァン・コラリ、ジュール・ペロー

英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルのフランチェスカとフェデリコ。ロシアバレエとは一味違う、ロイヤルならではのエレガントでまとまったパフォーマンスを披露、プリンシパルになったばかりとは思えぬ、フランチェスカの落ち着いた踊りは素晴らしかった。

 

 

 

『ラ・ローズ・マラデ』

出演:クラウディア・ドアントニオ、ジュゼッペ・ピコネ

振り付け:ローラン・プティ

マーラーの第5シンフォニーのアダージェットの音楽が始まり、中央の二人のダンサーがゆっくりと優雅に動き出す。この演目は日本語では「病める薔薇」と言い、振付師、ローラン・プティが1973年にイギリス人詩人、画家であるウィリアム・ブレイク氏の「病める薔薇」の詩からインスピレーションを受け、作り出した作品であり、切なく恋しい気持ちにさせる。

 

ローランが影響されたという「病める薔薇」の詩はこちら:

『おお 薔薇よ おまえは病んでいる

目には見えない蟲

そいつが夜明けに

唸る嵐のなか 飛んできた

 

そいつが深紅の喜びという

おまえの臥所を見つけた

そして 奴の暗くて秘やかな愛が

おまえの命を毀したのだ』

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『チェロデュエット』

出演:ポリーナ・セミョーノワ、アレクセイ・オレンコ

振り付け:ナチョ・ドュアト

今年一番のユニークな演目。アレクセイはチェロ奏者、ポリーナは楽器のチェロとなりバッハの曲に合わせ二人が踊り曲を奏でる。コンテンポラリー要素が多く含まれ、ポリーナの体の柔軟さやとバランス感を引き立たせた。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『ドンキホーテ』

出演:マリア・アレキサンドワ、ウラディスラフ・ラントラートフ

振り付け:マリウス・プティパ

バレエの定番とも言われるこの演目をボリショイ・バレエ団の二人が第一幕の締めとして踊り、観客の期待を裏切らず素晴らしい表現力とテクニックで舞台を飾った。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

 

第2幕

 

 

『ウォーリアー・オブ・ライト(ワールドプリミア)』

出演:マリア・サーシャ・カーン、ナディア・カーン、ジュリアン・マッキー、ニコラス・マッキー

振り付け:ジュリアン・マッキー、ニコラス・マッキー

 

今回振り付けを担当したジュリアンとニコラスは兄弟であり、米国モンタナ州出身。兄のジュリアンは米国人では初のボリショイアカデミーのロアースクール、アッパースクール両方を卒業しディプロマを取得している。数々の世界的コンペティションで5つのメダルも授与されている。この二人はロシア人画家で哲学者であるニコラス・ローリックの人生を題材にした演目を手がけ、そして出演。もしこのニコラス氏を知らない人にとっては何とも不思議な演目だったかも知らない。しかしこの兄弟は忠実にニコライ氏の世界観をバレエで表現していたと思われる。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『白鳥の湖(黒鳥パドドゥ)』

出演:ヴィクトリア・テリョーシキナ、ザンダー・パーリッシュ

振り付け:マリウス・プティパ

 

予定では英国ロイヤル・バレエ団プリンシパルのナタリア・オシポワが踊るはずだったが、急遽ヴィクトリアが代役を務める。やはり世界のスーパースター、ナタリアを観るためにこのガラに来ていた観客は私だけではないだろう。しかもザンダーとのパドドゥをどう踊るのかも興味深かった。

しかし代役と言えど、ヴィクトリアとザンダーは安定した踊りを見せてくれた。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『白鳥』

出演:セルジオ・バーナル

振り付け:リカルド・キュー

 

セルジオはラファエル・アグイラーカンパニーのプリンシパルでスペイン人ダンサー。男性版瀕死の白鳥というべきか。彼の優雅でしなやかな腕、手の動きは本物の白鳥を見事に再現、ドライアイスや照明の演出も手伝って、幻覚で彼の白鳥が見えたほど素晴らしかった。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『ラ・シルフィード』

演出:アナ・チホミロワ、アーテム・オヴァチャレンコ

振り付け:フィリッポ・タグリノーニ、後にオーガスト・ボーンォーンヴィル

シルフィード演じるアナ、可愛らしくそして魅惑に踊り観客を魅了。アーテムとの息も合い、ひと時の楽しいフェアリーの世界を披露してくれた。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『レジェンド・オブ・ラブ』

出演:ヴィクトリア・テリョーシキナ、ウラジミール・シャクリャローフ

振り付け:ユーリ・グレゴローヴィチ

振付師であるユーリは20世紀ロシアを代表する才能ある人物あり、「The Stone Flower(石の花)」も手がけ、キーロフ・バレエ(現マリインスキー・バレエ団)のバレエマスターにも就任、その後はボリショイ・バレエ団のバレエマスターに。この演目もダンサーの身体能力を試すような高度な振り付けであり、完璧を求めるロシア人ならではの作品といえよう。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『ヌレエフ(アダージオ)』

出演:マリア・アレキサンドワ、ウラディスラフ・ラントラートフ

振り付け:ユーリ・パッソコホフ

 

比較的新しい演目である「ヌレエフ」。演目名はレジェンドであるルドルフ・ヌレエフにちなんでつけられ、2017年7月にロシアで公演を予定していたが、公演2日前にキャンセル、同年12月に2回のみ公演され、イギリスでの公演はこれが初となった。真っ暗な舞台にスポットライトで浮かび上がるマリアとウラディスラフ。彼らの表現力は巧みで、ロシアバレエの底力を見せつけた。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

『海賊』

出演:エカテリーナ・クリサノワ、キミン・キム

振り付け:マリウス・プティパ、ジョセフ・マジリヤー

 

ガラ最後を飾ったのはマリインスキー・バレエを代表するプリンシパルの二人。両者ともに安定感のあるダイナミックな動きで、観客を魅了。最後にふさわしいパフォーマンスになった。

 

©️Russian Ballet Icons Gala, photo: Marc Haegeman 

 

 

 

今年も国際色豊かで世界で活躍する一流のダンサー達を一挙に観ることができ、それが本当はとてもる贅沢なことであると実感する。毎年ロシア・バレエ・アイコン・ガラを主催しているロシア文化連盟、関係者にこのような素晴らしい舞台をロンドンで行ってくれることに心から感謝したい。そして舞台照明が特に今年は際立って素晴らしく、全ての演目の特徴をよく表現していたと思う。来年の公演も今から楽しみである。

 

 

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