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Setsuko Ono London Exhibition

小野節子 ロンドン展

小野節子さん©️Photo: Yuliko Saito

日本人アーチスト、小野節子さんの個展がロンドンで今年初めて開かれた。2月は大和日英基金、3月はアジアハウスの2カ所であった。小野さんは世界的に有名なビートルズのメンバー、ジョン・レノン氏の妻、オノ・ヨーコさんの8歳年下の妹。日本ではカトリック・スクールに通い、1950年代父親の赴任に伴いニューヨークへ。その後日本、ヨーロッパ、アメリカと様々な国で過ごし、スイスの大学院卒業後、28年間世界銀行に勤務。

世界銀行で働く日々は常にストレスやプレッシャーを感じ、何かリラックスできるものはないか?と考えた時に小さい頃から好きであった「絵を描くこと」をしようと、銀行に勤めながらアートスクールに通い、彫刻などのテクニックを習得した。

2003年退職後、個展を開くなど本格的にアーチストとして活動を始め、作品は彫刻、油絵、コラージュなどバラエティに富み、それぞれの作品に強いメッセージを感じずにはいられない。作品の題材もスペインの内戦、パレスチナ問題など、近年は特に世界情勢を題材にしたものが多い。

展示会の壁にVRゴーグルが掛けてあり、それをつけると日本にある彼女の彫刻を見ることができる。あまりにも大きすぎてロンドンには運べなかったからだ。

VRゴーグルを覗く人©️J News UK, Photo:Chikako Osawa-Horowitz

ポール・グラッドストン教授と小野節子さん©️J News UK, Photo:Chikako Osawa-Horowitz

14日は節子さんとポール・グラッドストン教授との対談が設けられ、その対談の中で特に印象深かったことは彼女が「特に意識して何かをやろうとしてこなかった」という事。

「今まで人が自分の作品を見て、どう思うかを考えて作品を作ったことはないです。」

「意識して作品にメッセージを持たせようとはせず、観る側、受け取る側がメッセージがあると思うならそうなのでしょう。」と。

また「意識してアーチストになった訳でも、成功しようとした訳でもなく、気がつくと自然にそうなっていました。」

「自らをプロのアーチストとは呼ばない」ともおっしゃられ、その理由は「プロになるとさまざまな制約ができ、自由ではなくなるから、だから自分はプロではないの。」と語る。

そして人生の中で禅仏教に興味を持った小野さんであるが、ポール教授から「それはあなたが日本に生まれ、無意識に東洋の文化が自分の中に入っていて、禅に興味を持ったのですか?」と聞かれると、彼女はちょっと考えてから「今まで考えたこともなかったけれど、きっとそうなのかもしれないわ。」と答えた。

そんな彼女は常に無理なく自然体に見えた。そして「今」という瞬間を大事にし、「今」しかできないことをしているのだろう。それも自然体で。

ポール教授から「今後の創作活動の予定は?」という質問には「特に何も考えていません。1つ目のブラシを入れて、2つ目と続いていくだけです。」

そんな彼女の人生観が素敵だと思った。

50年代ニューヨーク滞在中にジョン・ケージ*と出会い、彼のサイレントパフォーマンス「4分33秒」に強い影響を受けたそうだ。まるで彼の芸術的感性を彼女は彫刻と絵で表現しているようだ。

*ジョン・ケージ:アメリカ人音楽家、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家。独特の音楽論や表現を持つ。「4分33秒」は彼の代表作。

'For Our Beautiful Earth' acrylic and charcoal on linen, 200 x 160 (2009) by Setsuko Ono

©️J News UK, Photo:Chikako Osawa-Horowitz

'Warsaw Ghetto Uprising: Victoire d'Une Defaite' acrylic and charcoal on canvas, 200 x 149 (2009) by Setsuko Ono

©️J News UK, Photo:Chikako Osawa-Horowitz

©️J News UK, Photo:Chikako Osawa-Horowitz

'Monsters of Our Civilization' acrylic and gesso on brown paper (2009) by Setsuko Ono

©️J News UK, Photo:Chikako Osawa-Horowitz

'Victory' apple wood, 129.5 x 86.6 x 35.6 (1996) by Setsuko Ono

©️J News UK, Photo:Chikako Osawa-Horowitz

Asia House

http://asiahouse.org/

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