ギルドホール・アート・ギャラリー (c) J News UK. Photo:Chikako Osawa-Horowitz
Seen & Heard: Victorian Children in the Frame
ビクトリア王朝時代の子供達のポートレート
2018年11月23日~2019年4月28日
Guildhall Art Gallery
Guildhall Yard, London EC2V 5AE
入場料: £8/ £6
12歳以下無料
ギルドホール (Guildhall Art Gallery) 、シティ・オブ・ロンドンの市庁舎のアート・ギャラリーで、今月23日から2019年4月までビクトリア王朝時代に描かれた子供達のポートレートを展示しています。この絵画の中に、故元ダイアナ妃の叔父たちの子供時代を描いた絵も飾られています。
故元ダイアナ妃の叔父たちが子供の時 (c) Guildhall Art Gallery
19世紀以前は子供達の絵画といえば、主に裕福な家族のポートレートとして描かれていました。しかし若いビクトリア女王が王位に就いた1837年、上流、中流階級の子供達はもっと個性を尊重した、玩具で遊んだり、ペットを飼う様子、服装も大人の真似をしたものではなく、子供らしい服を着ている様子を描かれるようになりました。人生の中の子供時代というのは誰もにとって大切な時期であり、その子供をありのままに描き、時代背景を表現する意味でも、絵は重要な役割を果たすようになりました。しかし多くの画家は社会的、政治的問題として、地方の貧しい子供達を絵画の題材に選ぶ傾向にありました。
ここに展示されている裕福な子供達と貧困な子供達の絵からは、当時の社会的格差がどのようであったかを知ることができます。貧しい家の子供は幼い頃から労働力として働かされていました。
ヴィクトリア女王は61年間の即位中、始めの14年間で、子供を9人出産しています。母親として彼女は自分の子供だけでなく、イギリス全土の子供達が幸せに生きられるよう、過酷な環境、厳しい労働下、特に工場や炭鉱で働く環境で生活する子供達を救うべく、意欲的にその状況を改善していきました。
1851年ではイギリスの子供達の半数以下しか学校に通っていませんでした。当時の学校教育は特に統一されたシステムはなく、場所、性別、宗教、親の財政、社会的コネクションによって教えられる事柄もまちまちでした。
工場学校は1830年に設立され、働く子供には毎日2時間の教育を受けられるというものでした。他には週に数枚のペンスを支払い、読み書きを教えてくれる学校、最も貧しい貧困層の子供のための読みだけを格安で教えてくれる学校、英国教会による慈善事業としての学校、などがありました。1クラス80名の定員に、規律はとても厳しかったそうです。
1870年に10歳以下のすべての子供が教育を受けられるようになりましたが、それ以前は国が教育を国民平等に受けられることはありませんでした。そして1891年にようやく無料で学校に通えるようになりました。
学校で読み書きを習う子供たち. ギルドホール・アート・ギャラリー
(c) J News UK. Photo:Chikako Osawa-Horowitz
道路の掃除する人とマッチ売りの少女. ギルドホール・アート・ギャラリー
(c) J News UK. Photo:Chikako Osawa-Horowitz
母親が亡くなっている自分の娘を見つけ、死神のシンボルとして現れる男性.
ギルドホール・アート・ギャラリー (c) J News UK. Photo:Chikako Osawa-Horowitz
ギルドホール・アート・ギャラリー (c) J News UK. Photo:Chikako Osawa-Horowitz
正面向かって奥には、1800年後期に描かれたリッチモンドパークの大きな絵があります。昔も今も殆ど変わらないリッチモンド・ヒルから風景ですが、当時は子供を持つ家族づれがロンドンの郊外で休暇でピクニックをして過ごす場所だったそうです。右手奥には機関車の白い煙が見え、産業革命の偉大な功績を誇らしく描き、また、この絵が描かれた十数年後には第一次世界大戦が勃発します。その事は画家もそこに描かれた楽しいそうにくつろぐ家族たちは自分たちの運命がどのように変わるか知る由もありません。