イギリスの情報サイト「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏~「ロンドンでしたい100のこと」出版記念 - 1

09.11.2018

今年9月に行われた出版記念パーティーにてゲストに挨拶をする江國まゆ氏

©️J News UK. Chikako Osawa-Horowitz

 

 

最近はインターネットの普及に伴い、誰でも簡単に身近な情報を自分のブログやウェブサイトで発信できるようになり、そして自分に必要な情報もまた、ネット検索すれば瞬時に得ることができ、便利な世の中になったことは事実である。その中でも英国に関する質の良い、様々な情報を提供してくれている「あぶそる〜とロンドン」というウェブマガジンが存在する。その編集長である江國まゆ氏は、今年新たにロンドンに関するガイドブックを出版。今回は彼女の素顔と出版記念パーティーの様子をお伝えしようと思う。

 

 

編集長とはどんな人?

 

J:まずは自己紹介からお願いしす。

M:江國まゆです。ロンドンで編集とライターの仕事をしています。出身は岡山県倉敷市。大学のときから地元の編集プロダクションでアルバイトをしていたので、編集者・ライターとしてはすでに25年以上たちます。

 

J:渡英のきっかけは?

M:イギリスに来たきっかけはですね、二十歳頃からずっと付き合っていた男性が、途中で国際機関に就職したんですよね。それでもし彼と結婚するのなら、自分にも英語が必要だと思ってロンドンに語学留学に来た・・・というのが真相です(笑)。

 

J:当時の英国の印象は?

M:そのときに3ヶ月ほどいたんですが、とにかく「ここはすごく落ち着くな」という感じで、自分にしっくりきました。街を歩いているだけで、心が晴れやかになって馴染んでしまうというか。語学学校でいろんな国から来た人と交流があり、イギリス人の先生も面白くて、イギリスの文化を吸収したり、自分のことを英語で頑張って喋ってみたり。文化の多様性がとても心地よく、そこが一番の魅力で、その思いは今も変わっていません。

 

J:最初受けた印象が、今も全く変わっていないんですか?!

M:ほとんど変わらないですね。来た当時は、もちろん文化の違いから戸惑うことも当然ありましたけれども、それは外国人だから仕方ないし、むしろ私が外国人であって、やはり郷に入っては郷に従えで、こちらがイギリスの文化に合わせないといけないと思いました。とはいえ、住み心地の良さは来た直後から全く変わらないですね。

 

J:今年で在英20年ですが、最初3ヶ月語学学校に来て、また渡英されたのですか?

M:そうなんです。3ヶ月の語学留学の後、日本でまた別の出版社で3年くらい働きました。当時はロンドンのことを考えるだけでワクワクして、「あの地に早く帰りたい!」という気持ちが強く、頑張って帰ってきました。2回目の渡英時は働く気満々だったので、日本での仕事をポートフォリオにして、意気揚々と渡英しました。

 

J:渡英後すぐに就職したということですか?

M:当時は労働ビザというのは、割と取りやすい環境にありました。最初は日系のコミュニティ紙で編集のお手伝いをしていたんですが、そこは社員の空きがないということで、たまたま友人から飛行機の機内誌や、エアラインさんの日本語の広告などを作っている英系の代理店に日本語のセクションがあると聞いて、そこに電話してみたらアルバイト採用が決まり、その半年後に正社員の編集者の方がやめられたので、そのままそこに収まりました。

 

J:それからもう20年?! 

M:20年経ちました(笑)。

 

J:今一番楽しいことは?

M:仕事とプライベートの境目が曖昧な生活なので、日々がまんべんなく楽しいです(笑)。食べ歩きも楽しいですし、書くことも生みの苦しみはありますが、楽しいと言えば楽しい。私は写真も仕事でよく撮るのですが、写真の画像編集はすごく息抜きになっていいです(笑)。というのも、物を書くときと音楽を聴くときは、おそらく同じ脳を使っているので、物を書いているときに音楽は絶対に聴けないんです。だけど画像編集のときは、それができるんです。好きな音楽を聴きながら画像編集をしている時は、仕事をしながらリラックスできて一石二鳥(笑)。とても楽しいひとときです。

 

J:今一番辛いことは?

M:辛いことは特にないです。(キッパリ)

 

J:(少々驚いた感じで)それは羨ましいです。

 

今年9月に行われた出版記念パーティーにて

©️J News UK. Chikako Osawa-Horowitz

 

 

 

仕事について

 

J:まゆさんにとって書くこととは?

M:子供の時から本を読むのが好きで、高校、大学は文芸部で詩や短編小説なども書いたりもしていました。ただ好きな作家、例えばドストエフスキーや宮沢賢治、泉鏡花とか夢野久作といった文筆家たちの小説を読んで、自分にこれと同等のものが書けるかと自問しまして、「無理」という結論が出たので(笑)小説家の道は自然消滅しました。一方で、若い頃から名文家と言われる作家や随筆家の文を多読することによって得た文章力は、現在の仕事に役立っていると思います。日本語はとても美しい言語ですよね。その日本語の美しさと力強さとか、そういったものを上手に表現していけたらいいなと思っています。それから文章を書く人間として、「伝えたいこと」を100%伝えることができたら本望だと思っています。100%を、効果的に、思い通りの文章で書けたら最高ですね。自慢じゃないんですけど、文体は色々書けるんですよ(笑)。「だ・である」の硬質な文章にも引かれるし、「です・ます」で柔らかく伝えるのもいい。誰かの口調を真似した文体とか、色々と妄想はあるんです(笑)。個人的には「だ・である」で、より文学的に、硬質に表現していくというのが好みでヲタク的感じなんですけれど(笑)、そういう文章を時間をかけて書いていくことをもっとやりたいなと思いますね。もっとも独りよがりにならないように気をつけなければという気持ちもあります。通常はなるべく「です・ます」で丁寧に、読者の皆さんにわかりやすい形で書くよう心掛けています。

 

J:なるほど、だからまゆさんの文章からは優しさが感じられ、文章の中にすっと入っていけるようになっているのは、そういうポイントを押さえているからなんですね。

M:読者の皆さんが理解しやすいように書くのは鉄則ですね。文学でない限り、「伝える」ことが第一目的ですから。でも自分らしさも文章に入れたいから、表現はすごく考えます。文章はリズムがとても大切。音読はしないまでも、自分の中で読んでリズムを確かめていますね。短い文章になればなるほど、まとめるのも読ませるのも難しくなる。長い文章はたくさん書けるからいいけれど、構成に工夫が必要になる。日本語は特に音が美しいので、雅語(がご)と言われる古い言葉とか、日本語らしい柔らかい言葉を入れ込みながら、ちょっと難しい漢語も入れるとか。カタカナ、ひらがな、漢字、副詞・・・全てのバランスを考えつつ、文末についてもメリハリを考えて書いてます。

 

J:まゆさんにとって編集者とは?

M:編集者というのはディレクターと同じですよね。まとめ役です。能力を見出して適材適所に配して作品を編集していく。描いているビジョンに向かって、どういう人にお願いすれば、その形になるのかというのを考えながら作っていく。映画でいうと監督ですよね。なので、編集者とライターというのは、全く違う役割をしています。私もライターとして文章を書く際に、編集者さんの視点に納得することは多々あります。

 

J:監修との違いは?

M:本の監修というのは、全然別の仕事です。著者が複数いる場合に、その専門分野の内容について監修するということですね。例えば食に関する事典か何かを作るときに、いろんな人に執筆を頼みます。全体を見て、それぞれの専門性についてスーパーバイズしていくのが監修者。編集者はその外側にいて、本の体裁を整えると同時に、監修者の視点が正しいかなども見ていきます。

 

 

 

 

つづく

 

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