連載小説:ちきゅう人一年生 - 3

 

 

 

 

 

3. 同じような人たち?

 

シリウスから来たという宇美さんと知り合って、私の世界はまた違う方向へも広がっていった。現実的社会での仕事の関係というよりも、視野が宇宙にまで飛んでいて、自分の目の前にある事実を理解すると同時に、その裏にある見えない世界をも理解する、精神世界で繋がっているような人たちと。

 

元々名声や物欲が薄い私にとって、その人たちの存在はありがたいと思った。もちろん、この3次元の物質社会生きていくには、お金を稼ぎ、それで食べ物が買え、住める住居を得るという基礎的な生活を維持するために、大抵の人間はお金を稼ぐ。そのために労働=仕事をして収入を得るのがこの現代社会では一般的な生き方であろう。

 

しかし、精神世界の存在を理解できる人が少ない中、自分の考えに共感してもらえたり、意見交換ができる関係はとても大切でもある。

 

なぜ精神世界の理解が大切かというと、あまりにも自分の物質的欲求を満すことに重要視することで、人間としてのバランスが崩れ、心が病んでしまう。多くの人は満たされない心の要求に気づかずに、さらに物質的価値で埋めていき、自分自身で何かおかしいと思っても、何をどうしていいのか分からなる。また、精神世界だけを重視してもバランスが崩れるのは当然であろう。

 

そして、きっと自分は運が悪いだとか、何かに取り憑かれているのだとか、占い師や霊媒師に救いを求めるのであろう。

 

こんなことを考えながら冷たい風が吹くロンドン市内を歩き、今日も仕事へと向かう。

 

「初めまして、この度このプロジェクトを担当させて頂く事になりました、田中正子です。どうぞよろしくお願いします。」

「初めまして!春日井誠です。お世話になります。いや、ほんとにびっくりしました。飛行機が飛ばずロンドンに着くのが1日遅れてしまったので。」

 

「それは大変でしたね。でも無事に到着されて良かったですね。取材の日程には全く影響はありませんので、その点はご心配なく。」

 

春日井氏は日本人だが、南米在住のライターである。日本では100冊以上の本を執筆し、全国講演をされている方だ。その執筆内容も幅広く、本当に何でも知っている、いわゆる「歩くグーグル検索」のような人だ。

 

翌日の打ち合わせと、まず初対面ということもあり、お互いの意思の疎通を図るため、市内のカフェに入る事にした。

 

私が通うお気に入りのカフェでも良かったが、その場所からは遠かったために、携帯で近くのカフェを検索。しかし、そういう時に限って、携帯の地図は全く違う場所を指したり、現在地までもが間違って表示された。

 

「田中さん、この近くでカフェどこにありますか?」

「ええっと、ちょっと待ってくださいね。。マップの表示がおかしくなってまして。。」

 

「もしかしたら、このビル街の影響で電波が上手く繋がらないのかもしれませんね」と言い、私の携帯を「ちょっと失礼」と言いながら手にして、

「こうやって八の字に動かすと直るんですよ」と見せてくれた。

 

そして携帯の地図は正常に表示され、

「ありがとうございます!」と言いながら、この人は何者??と頭の中にたくさんのハテナマークが浮かんだ。

 

正しい地図の表示で、どうにか適当な普通のカフェに辿り着いた。

 

そう、実は究極の方向音痴でもある。

 

 

きっと彼にとったら、たわいもない話なのだろうが、私はもっぱら聞く側で、「田中さん、こんな話を知ってますか?」など、いろいろふってきてくれるのだが、私の口からは

 

「へ~」

「そうなんですか?!」

「凄いですね?!」

 

という感心する言葉しか出なかった。

 

 

その時始めて自分がどれだけ自分の周りのことしか見えていない近眼で、世界の事など全く理解していないということを始めて思い知らされた。

 

そう、私はジャーナリストなのに、まだまだ知らないことがたくさんあったのだ。確かに私の専門は芸術であるが、それでも彼の知識の深さにはついていけなかった。

 

その気づきから私の中で新たな疑問が浮かんだ。

 

一体自分は何をフォーカスして仕事をし、何のために生きてきているのか、自分のもっとも興味があるものが何か?

 

この世界を飛び回っている春日井さんとの出会いによって、自分の意識改革 

 

 ー 自分がいかに狭い視野を持っていたか、

精神世界にどっぶりハマり、物質世界を全く重要視して来なかったか、

そして自分とは異なるアプローチで生きている人の存在を知る ー

 

のきっかけになったのは言うまでもない。

 

彼との数時間の会話は、私にとっては「目覚め」となった。

 

急に明日の取材同行がかなり心配になった。

私でこなせるのであろうか?!

 

 

 

つづく

 

 

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ひまわり仁咲(みさき)

東京生まれ、もの書き、画家、写真家。

中学生時代から詩を作り、油絵を描き始める。

https://ameblo.jp/himawarimisaki/

 

 

 

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