英国で教育しよう!長男の巻:パブリックスクール その3

長男の巻:パブリックスクール その3

GCSEの試験は毎年5月の中頃から6月の中頃まで一か月に渡って行われる。その間学校は試験休みに入り、自分の試験があるときのみ学校に行って試験を受ける。GCSEには日本語もある。セントポールでは日本語の補助授業はなかったが、試験を学校内で受けることはできたので日本語も受けることにした。各教科につき複数の試験があるので、(例えばフランス語ならば、口頭試験、リスニング、筆記、読解の4つの試験)試験の数は相当な数になる。一か月の間、体調を崩さないようにするのにも気を遣う。このGCSEの結果は大学受験の時に提出するので受験者にはかなりのプレッシャーがかかる。親も子も真剣だ。「うちの子は今年GCSEよ」といえば、それ以上何も言わなくても誰しもが「今年は大変なんだな」と理解する。日本でいえば、「うちの子は今年高校受験なの」というのと同じイメージだ。各学校もウェブサイトには毎年生徒たちのGCSEの成績を載せることによってその学校の学力の高さの指標を示す。毎年GCSEの成績の順位が新聞等のメディアにも発表されることからいかにGCSEの成績がこの国の教育の中で重要な位置を示しているかがわかる。ちなみに2016年はGCSEの英文学と数学のA*の成績は全国における受験者のトップ約6-7%が取っている。競争が激しくなっているために、前回述べたとおりA*、A、B、C、D、E、F、Gの成績表示から2018年からは成績が更に細区分され最高グレードを9とした9から1長男の数字表示に替えられた。2018年には9の成績は英文学も数学も全国における受験者のトップ約3.5%にすぎない。ますます最上点を取るのが難しくなっていることがわかる。(参照:リンクを見る)

ここで私が腑に落ちないのは全国テストといっても試験を実施する委員会(ボード、board)が複数あることだ。イギリスには現在EDEXELとOCRとAQAと3つのボードがある。そして各ボードが独自の試験を行い成績をつける。そして学校によってどのボードの試験を受けるかは各校のポリシーによって決めるのだ。同じ学校でも教科によってどのボードのGCSEを選ぶかは各教科のデパートメントの判断で決める。例えば長男の場合美術はOCRのボードだったが、イタリア語とフランス語はEDEXELのボードだった。要するにGCSEで9を取ったといってもみんなが同じ試験問題を受けていないのである。そしてボードによって難易度も違うという噂があり、これはおそらく正しいと思う。優秀な学校は生徒がやりがいがあるような問題を出すようなボードを選ぶので、自ずと難易度の高いボードとなり、そして優秀な子供たち同士の競い合いになる。しかし大学はボードの違いを鑑みて成績の良しあしを判断しているとは思えない。あくまでも9の数が幾つかが重要なのである。一律ではないのでどうも公平な成績だとは思えない。

さて、長男は前述の通り、2年の間、ちゃんと勉強をしておらず、素行も悪かった。そのため、私は引っ越し早々、まだ家の中には200ほどの段ボール箱がつみ重なっている時に教頭に呼び出され、もし成績も素行も「汚点がない」ものでない限り次の学年には上がれないと宣告された。そして「念のため、来年セントポールズに残れなくとも、行ける学校があるように学校訪問をしておいてください」とまで言われた。寮長が長男が停学処分になった際「内田君とは話しました。このことは水に流して新たに前進しましょう」とメールで書いてきたのを言葉通りにとってはならなかったことに気が付いたのはこの時だった。長男のGCSEの年は私は生きた心地がしなかったのである。

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*学校区分の日英比較は大体下記のとおり。(英国日本婦人会発行『ロンドン暮らしのハンドブック』2017年5-8改訂版p。35参照)

Miho Uchida/内田美穂

聖心女子大学卒業後外資系銀行勤務を経て渡英、二男一女を育てる傍らオペラ学を専攻、マンチェスター大学で学士号取得。その後UCLにてオペラにおけるオリエンタリズムを研究し修士号取得。ロンドン外国記者協会会員(London Foreign Press Association)。ロンドン在住。ACT4をはじめ、日本の雑誌にて執筆中。

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