英国で教育しよう!長男の巻:パブリックスクール その4

長男の巻:パブリックスクール その4

「素行も成績も申し分ないものでなければ退学、4月の時点で学校が決断する」という宣告を受けて、私は退学処分を受けたときの為に学校訪問を始めた。北ロンドンにあって家から通えそうな名門校の校長に面接のアポイントメントを取り付けていった。面接の際になぜセントポールからその学校に移らなければならないかを説明するのは一苦労だった。一方、長男は学校から宣告を受けて猛然と勉強し始めた。さすがに学校をやめたくないと思ったのか、悔しかったのか、親を悲しませたくなかったのか、またはそのすべてか、とにかく頑張ろうと思ったようだった。

セントポールでは5月から始まるGCSEのための各教科の模擬試験が冬休み明け一月初めにあった。この模試で成績を出せば長男の成績は申し分ないという何よりの説得力になる。だから彼はそれに向かって一生懸命頑張ったと思う。その甲斐あって11教科の模擬試験の成績は歴史のAを除いてすべてA*だった。結果発表の時のペアレンツイブニングでは英語の先生に「こんな短期間に成績が一気に上がった生徒は長い教師生活の中でも2,3人しか思い浮かばない。U君はそのうちの一人です。」と言われた。しかし生物の先生には「今まで勉強していないのでベースがなっていないためGCSEではA*が取れたとしても来年からのAレベルではA*は取れないと思う。だから来年は生物は取らない方がよい。」とサジェスチョンを受けた。(英国ではGCSEが終わると、義務教育は終わるのだが、勉強を続ける場合、大学に進学する前に17,18歳の二年間でAレベルという資格をとる。このAレベルについてはまたの機会に説明することにする。)成績が上がったのは嬉しかったし良い知らせだったが来年度の進学許可の通知が来るまではまだまだ油断はできないという気持ちの方が強かった。従って私は他の学校に入学願書を出すというプロセスを続けていた。長男の方は模試での好成績よりも本番のGCSEでよい成績を出したいという気持ちが強かったので模試が終わっても引き続き勉強を続けていた。

そうして4月になったある日教頭から再び連絡が来た。「U君ですが、この半年の成績及び素行の向上には目を見張るものがあります。校長が直々称賛するに値すると決断しました。○日○時に制服を着用して校長室に来てください。」と連絡があった。なんとも名誉なことである。それと同時に校長から書簡で来年度の進学を許可するとの連絡が来た。これで何とか放校の危機は乗り越えた。しかしながらGCSEの本番はこれからである。緊張状態の続いたまま夏の試験に向かっていった。

付け加えると私の知っている限りではどこの学校もGCSEの模擬試験を大体1月に行っている。その成績が本番のGCSE試験結果の指標になる。しかしここで絶望的な成績をとってもそこからカムバックしたという子たちの話はよく聞く。要するに学校としては警告が出せるように模試をするのだ。良い学校は生徒たちに最良のGCSEの成績を取らせるために十分に準備してくれる。

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*学校区分の日英比較は大体下記のとおり。(英国日本婦人会発行『ロンドン暮らしのハンドブック』2017年5-8改訂版p。35参照)

Miho Uchida/内田美穂

聖心女子大学卒業後外資系銀行勤務を経て渡英、二男一女を育てる傍らオペラ学を専攻、マンチェスター大学で学士号取得。その後UCLにてオペラにおけるオリエンタリズムを研究し修士号取得。ロンドン外国記者協会会員(London Foreign Press Association)。ロンドン在住。ACT4をはじめ、日本の雑誌にて執筆中。

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