ロンドンコロシアムにて、イングリッシュ・ナショナル・バレエ「海賊」

Precious Adams, Alison McWhinney and Julia Conway

in English National Ballet's Le Corsaire © Photo: Laurent Liotardo

2020年1月8日

ロンドンコロシアムにて、イングリッシュ・ナショナル・バレエ「海賊」

English National Ballet ‘Le Corsaire’ at the London Coliseum, the first night on 8 January 2020

2012年、ウェイン・イーリング氏の代わりに、元ロイヤル・バレエ団プリンシパルダンサー、タマラ・ロホ氏を芸術監督に迎え、イングリッシュ・ナショナル・バレエ団は革新的チャレンジに挑んできた。まずリードプリンシパルダンサーからコードバレエに至るまで、一人一人の再評価を行い、ほぼ総入れ替えを図った。

そのタイミングで他のバレエ団へ移籍する者、現役を退く者とダンサーたちにとっても劇的な変化があったに違いない。特にプリンシパル、ワディム・ムンタギロフ氏は、英国ロイヤル・バレエ団に移籍し、現在もロイヤル・オペラ・ハウスで大活躍中だ。

イングリッシュ・ナショナル・バレエ団のリードプリンシパルとしてこのバレエ団を長年支えてきたプリマといえば、ダリア・クレメントヴァ氏であろうか。彼女はロイヤル・アルバート・ホールで素晴らしい現役最後の公演を終え、現在は英国ロイヤル・バレエ・スクール、アッパー・スクールの講師として将来有望な若手ダンサーを育てることに力を入れている。

また、2013年、英国ロイヤル・バレエ団からルーマニア出身のアナ・コジョカル氏をリードプリンシパルに迎え、他にも多くの優れた日本人ダンサーや国籍を問わず様々なダンサーを入団させ、国際的な顔ぶれになっている。

全3幕からなるバレエ「海賊」は1814年に出版されたロード・バイロン氏の詩「海賊」を元に作られ、地中海を舞台に、海賊の首領とさらわれた恋人との情熱的な恋物語である。また「海賊」は、振付師のレジェンド、フランス人マリウス・ペティパ氏がマリンスキー劇場で公演した偉大なクラシックバレエ作品の1つでもあり、海賊は全幕全てにダイナミックな踊りが取り入れられ、最初から最後まで見所が多く、19世紀のロシアバレエの代表作でもある。また単なる恋物語とは別に海賊、奴隷、男尊女卑など社会的問題提起もしている。

この「海賊」の初日では、メドゥーラ役に華麗な踊りと繊細な演技力で観客を魅了するリードプリンシパル、高橋絵里奈氏、ギュリナーラ役に2016年にプリンシパルに昇格した加瀬 栞(しおり)氏を配役し、コンラッド役はイタリア人フランチェスコ・ガブリエル・フロラ氏、ランケデム役にアメリカ人ゲストダンサー、ブルックリン・マック氏を起用している。

まさに実力ではベストのダンサーが集結し、誰もが主役であるかのように、見劣りしない素晴らしい踊りを披露してくれた。その中で特に目を引いたのはアメリカ人ダンサーのマック氏である。米国ジェフリー・バレエ、アメリカン・バレエ・シアターのダンサーとしての経験があり、筋肉が程よくついたスレンダーな彼の踊りは、黒人ならではの独特なしなやかさ、そして軽々と宙を浮くようなジャンプ力が魅力的である。

舞台美術も素晴らしく、手前のスクリーンと映像技術を上手に融合し、クラシックの要素を全て活かしながらテクノロジーを取り入れ、すぐ近所のオペラハウスの豪華さとは一味違う舞台に仕上がっている。

2020年1月8日~14日まで公演中

Erina Takahashi as Medora

in English National Ballet's Le Corsaire © Photo: Laurent Liotardo

Francesco Gabriele Frola as Conrad

in English National Ballet's Le Corsaire © Photo: Laurent Liotardo

Brooklyn Mack as Lankendem

in English National Ballet's Le Corsaire © Photo: Laurent Liotardo

Erik Woolhouse as Birbanto

in English National Ballet's Le Corsaire © Photo: Laurent Liotardo

Artists of English National Ballet in Le Corsaire © Photo: Laurent Liotardo

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