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秋田発のいぶりがっこ、ロンドンへ

  • Chikako Osawa-Horowitz/大澤史來
  • 10月9日
  • 読了時間: 4分

たからぼプロデュースが英国で初の試食レセプション開催

いぶりがっこ使用のメニューサンプル
いぶりがっこ使用のメニューサンプル

発酵食品で秋田の魅力を世界に発信

秋田県大仙市のたからぼプロデュース合同会社は、2025年11月9日(日)~10日(月)の2日間、ロンドン中心部の日本食レストラン「So restaurant」(5 Middlesex Street, London E1 7AA)にて、同社の看板商品「いぶりがっこ」を使った試食レセプション「Japanese Smoked Radish Tasting Event in London」を開催する。

秋田県産の食材をテーマにした試食イベントがロンドンで行われるのは初めて。現地の日本食レストランやバーなど、外食業界関係者約60社が招かれ、いぶりがっこを使った新しい料理の可能性を探る。


■ “未知の食材”を現地シェフへ

いぶりがっこは、大根を燻してから糠漬けにした秋田県の伝統的な漬物。「いぶり」は燻す、「がっこ」は秋田弁で漬物を意味する。独特の香ばしさと歯ごたえが特徴で、日本では酒の肴やご飯のお供として親しまれている。

一方で海外ではまだ無名で、現地シェフからは「美味しいけれど、料理への取り入れ方が分からない」という声が多かった。そこでたからぼプロデュースは、ロンドンの輸入卸会社Hokkaido Fine Foods Ltdと共催し、いぶりがっこの新しい使い方を紹介する試食イベントを企画。

当日は、賞味期限3年の「いぶりがっこ木っ端みじん」とスライスタイプの2種類を使用したアレンジメニュー10品以上を、お弁当スタイルとおつまみプレート形式で提供。現地で活躍する日本人シェフ2名も参加し、チーズやアボカド、クリームチーズ、わさび醤油などとの組み合わせを提案する。


■ 健康志向・発酵ブームにもマッチ

いぶりがっこは発酵食品であり、腸内環境を整える乳酸菌を多く含む。さらに大根由来の食物繊維が豊富で、血糖値上昇を抑えたり、便通を改善する効果も期待される。英国では「腸活」や「プラントベース(植物性食品)」が注目されており、いぶりがっこは健康志向のメニューにも適している。


■ 鈴木健一氏 ― “保守的な東北”から世界へ挑む起業家

同社を率いる『鈴木健一氏(44歳)』は秋田県大仙市太田町の出身。秋田で育ち、野球少年として青春を送り、大阪の航空専門学校を卒業後、全日本空輸(ANA)に入社。地上整備士として秋田空港や成田空港で航空機の誘導やボーディングブリッジの接続などに携わった。

国際的な現場で培った感覚を生かし、2019年9月18日に「たからぼプロデュース合同会社」を創業。創業から6周年を迎える。しかし、設立からわずか2カ月後に新型コロナウイルスのパンデミックが発生。創業早々に販路が閉ざされるという最悪の状況に見舞われた。

「この3年間は“準備と勉強”の時間でした」と鈴木氏。国内では老舗との取引網が強固で、新興企業が参入する余地が少なかったことから、視野を海外へと転換。チーズとの相性の良さに着目し、欧州進出を決意した。

仙北平野(猫バスの田園風景)
仙北平野(猫バスの田園風景)

■ 欧州輸出を支える“3年保存”技術

いぶりがっこの輸出で最大の課題は『賞味期限の短さ(従来6カ月)』だった。輸出には1年以上の保存が求められるうえ、海上輸送中のコンテナ内は50度を超えることもある。鈴木氏はコロナ禍の間、保存液の研究開発に没頭。EUの厳しい食品添加物基準に挑み、専門家やJETROの助言を受けながら、安全で高温にも耐える新保存液の開発に成功した。

その結果、賞味期限3年のいぶりがっこを実現。業務用1,140g入りレトルトパックとして、すでにオランダやイギリスで販売を開始している。この製品は日本国内でも評価され、ファミリーマートのおにぎり(保存液なし、賞味期限6ヶ月を使用)にも採用された実績を持つ。


■ 書類も“粘り強さ”で勝負

欧州への輸出では、国ごとに異なる税関書類が必要となる。多くの企業が煩雑さを理由に撤退する中、鈴木氏は「面倒くさいほどチャンス」と捉えた。航空業界で培った正確な書類処理の経験を生かし、地道に申請を重ねる姿勢が功を奏したという。「細かいルールを守るのは得意。秋田県民の粘り強さで突破します」と鈴木氏は笑う。


■ 志を共にするパートナーと共催

現地の共同主催者であるHokkaido Fine Foods Ltdは、「日本の良いものを世界へ広めたい」という理念を掲げる企業。両社は毎日のように連絡を取り合い、ロンドンでのイベント実現に至った。イベントでは、ヴィーガンやプラントベース料理への応用提案も行い、欧州市場での販路拡大を目指す。


■ 秋田から世界へ — いぶりがっこの未来

秋田で生まれ、秋田で作られたものしか「いぶりがっこ」とは名乗れない。その誇りを胸に、鈴木氏は「秋田の発酵文化を世界の食卓へ届けたい」と語る。名古屋での人気を皮切りに、ヨーロッパでも確実にファンを増やしており、秋田の伝統食が次のステージへと羽ばたこうとしている。

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【イベント概要】

  • イベント名:Japanese Smoked Radish Tasting Event in London

  • 日時:2025年11月9日(日)~10日(月)10:30~16:30


     ※時間帯別に3グループ制で実施

  • 会場:So restaurant(5 Middlesex Street, London E1 7AA)

  • 主催:たからぼプロデュース合同会社、Hokkaido Fine Foods Ltd

  • 招待者:日本食レストラン、バー関係者など約60社


【お問い合わせ】たからぼプロデュース合同会社

〒014-0102 秋田県大仙市大曲中通町7-15 コレクトビル2F

代表社員:鈴木健一

TEL:090-6623-4147

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