Japan Festival at Kew Gardens キュー王立植物園でのジャパン・フェスティバル


テンぺレート・ハウス中央部 (c) J News UK, Photo: Chikako Osawa-Horowitz

今年10月、キュー王立植物園では、日本の芸術、植物、文化を紹介する全く新しい秋のフェスティバルを開催。ダイキンUK社の協賛により、2021年10月2日(土)から10月31日(日)まで、キュー王立植物園の温室で行われる。現存するヴィクトリア朝時代の世界最大のガラス温室であるテンペレート・ハウスには、5大陸から集められた1万本以上の植物が展示されており、植物科学と生物多様性の未来を照らす存在となっている。(過去の記事)

テンぺレート・ハウス (c) J News UK, Photo: Chikako Osawa-Horowitz

セントラル・インストール展示 ワン・サウザンド・スプリングス

塩田千春氏は、人間の存在を探求するために、部屋中に糸を張り巡らせた大規模なインスタレーションで知られているが、この「One Thousand Springs」は、テンペレート・ハウスの屋根、12メートルの高さから赤い糸に付けられた5,000句の俳句が吊り下げられて、私たちが共有する自然とのつながりを物語り、このフェスティバルのメインといえよう。

アーティストの塩田氏は、「日本語は、自然を大切にする文化によって作られています。そして、生け花、盆栽、花見などの多くの文化的慣習は、自然を観賞し楽しむことに基づいています。One Thousand Springs』では、俳句に焦点を当てました。伝統的な俳句は季節の一つを表現し、多くの俳句は自然を観察し歌われています。このインスタレーションで紹介されている句は、世界中の一般の方々から寄せられたものです。」と語った。

テンぺレート・ハウス中央部 (c) J News UK, Photo: Chikako Osawa-Horowitz

日本庭園インスタレーション Chalk Garden・白亜庭

日本と英国の庭園文化の交流を主な目的として構成されたChalk Garden・白亜庭は、英国の地層を表現するために、チョークを庭の土台の材料として採用し、英国で手に入る日本の植物を使い庭を構成した。庭は世界遺産にも登録されているキューガーデンのテンペレート・ハウスのノース・オクタゴンに設置。Kodai and AssociatesとOtis Landscape Associatesとのコラボレーションにより、現代的な日本庭園を英国ならではの風景の中に表現。Chalk Garden・白亜庭は1862年に建造されたグラスハウスの建築物と呼応し、日本と英国の文化が融合したユニークな空間で落ち着いた雰囲気を醸し出している。


テンぺレート・ハウス(ノース・オクタゴン) (c) J News UK, Photo: Chikako Osawa-Horowitz

菊まつり

このフェスティバルの一環として、キューの園芸チームは、日本の国花である「菊」をモチーフにした壮大な展示に力を入れた。菊は、日本のパスポートや紙幣に描かれるなど、日本人にとって文化的に重要な花であり、長寿、若返り、親善のシンボルとして知られている。毎年秋には日本各地で「菊まつり」が開催され、生産者がクラスごとに優勝を目指して競い合ったりもする。

テンペレート・ハウスのサウス・オクタゴンにはキューの園芸担当者がこの伝統に応え、秋の夕日をイメージした黄色やオレンジの花を咲かせた6品種、3,000もの菊が鮮やかに演出のもと、展示してある。

また、テンペレート・ハウスでは、サウンドアーティストの堀川ヨシ氏による情緒的なサウンドスケープを楽しむことができる。鹿児島の川や滝の調和のとれた自然の音、岐阜の杉山の雰囲気のある音、フィリピン海の波間に聞こえる鳥の鳴き声など、この感覚的インスタレーションは、日本の美しく多様な自然の風景のユニークな雰囲気を表現。


テンぺレート・ハウス(サウス・オクタゴン) (c) J News UK, Photo: Chikako Osawa-Horowitz


この他にも今月様々なイベントが企画されており、詳しくはホームページで確認することをオススメ:https://www.kew.org/kew-gardens/whats-on


ー アーチスト紹介 ー


塩田千春

1972年、大阪府出身。ベルリン在住。


生と死という人間の根源的な問題に向き合い、「生きることとは何か」、「存在とは何か」を探求しつつ、その場所やものに宿る記憶といった不在の中の存在感を糸で紡ぐ大規模なインスタレーションを中心に、立体、写真、映像など多様な手法を用いた作品を制作。

2008年、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。2015年には、第56回ヴェネチア·ビエンナーレ国際美術展の日本館代表作家として選出される。


森美術館(2019年)、南オーストラリア美術館(2018年)、ヨークシャー彫刻公園(2018年)、K21-ノルトライン·ヴェストファーレン州立美術館(2016年)、高知県立美術館(2013年)、丸亀猪熊源一郎現代美術館(2012年)、国立国際美術館(大阪、2008年)を含む世界各地での個展のほか、シドニー·ビエンナーレ(2016年)、瀬戸内国際芸術祭(2010年)、キエフ国際現代美術ビエンナーレ(2012年)、横浜トリエンナーレ(2001年)などの国際展にも多数参加。

https://www.chiharu-shiota.com/

古代裕一(コダイ·アンド·アソシエイツ代表)

京都出身。チューリッヒ在住。


英国王立建築家協会(RIBA)

建築登録委員会(ARB)

ロンドンのAAスクールを卒業後、2005年から2013年までスイスの建築事務所ヘルツォーク&ド·ムーロンに勤務。同社では、「ペレス·アート·ミュージアム·マイアミ」や「TATEモダン」のほか、いくつかの国際的なプロジェクトに携わる。2013年、京都のSANDWICH Inc.に建築部門を設立。2017年、現代美術家の名和晃平氏とともに福山市に「KOHTEI」を完成させた。

クラウディア·マギーとともに、京都にkodai and associatesを設立。2018年にはスタジオをスイスのチューリッヒに移し、kodai and associates GmbHを設立した。

https://www.kodaiandassociates.com/